【Age of Networks(AoN-DB)え~ちゃんぶろぐねっとわ~く】【脱稿】君待つ花 4/5

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【脱稿】君待つ花 4/5

【新呼球関係者公開】


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「~で、私のところに来たのね」

鈴仙ちゃんは頭を抱えて項垂れた。
今さっき鈴仙ちゃんに全部聞いたけど、アリスと魔理沙さんの弾幕ごっこに派生するぐらいのふーふげんか? は日常茶飯事で、時々永遠亭にまで担ぎ込まれるらしい。
まさか私が担ぎこまれる事になったとは思わなかった。とは直接的な原因になった、すごいレーザーを撃った魔理沙さん。

『すまん。メディの事、すっかり忘れてた』
『家の外にまで結界を張ってなかったし、家から出ちゃダメって言わなかったし、ごめんね』

とは、後で本人達から聞いた事なんだけど。


「師匠だったらもっとちゃんと出来るんだけど、動きにくかったら言ってね?」

謝りながら、私の体に包帯を巻きつけていく鈴仙ちゃんの手は慣れたような感じだった。
動かしにくいなんて事もなく、軽く撃ってみせた弾幕にも抵抗は無い。
よく分からない私から見ても、鈴仙ちゃんの巻きつけ方には何も問題を感じなかった、と言うとありがとう、と安堵とも取れる声をあげて喜んだ。
釣られてわたしも笑った。

ほんの僅かばかり、部屋が静かになった。
それに変わり、部屋の外から喧騒が聞こえてきたかと思うと、木床を思い切り踏みつける足音のような耳障りな音がこちらに近づく。
襖が勢いよく叩きつけられるように開くと、荒れた毛並みの素兎が部屋に転がり込むようにして倒れてきた。

「騒々しいわよ!」
「ヤバいよ、日傘のオバさんが―」
「誰がオバさんだって?」

周囲を圧倒する凄まじい妖力を襖の向こう側に感じる。
てゐちゃんの耳から上まで見えるかとぐらいに大きな存在感が部屋の空気を重苦しいものに変える。

「ゆうかおねーちゃん!」
「メディに手を挙げたのはお前かっ!」
「ち、ちがっくるしっ!」

聞いた事の無い低い唸り声と共に鈴仙ちゃんを締め上げるゆうかおねーちゃんの目は本気だった。
てゐちゃんやウサギさん達は既に姿を消し、わたしはあまりの怖さに声を出すことも動く事もままならなかった。

「煩いわよ、うど……風見幽香!」
「あら、八意の。これはどういう事なのかしら?」

砕かれた襖、散乱する書類、突き飛ばされて襟元を押さえる鈴仙ちゃん。
何も変わらなかったのは私が居た布団と、その周りだけだった。

「メディスンの診断結果でも取りに来たのかしら?」
「永遠亭の素兎どもは礼儀がなってないわね」
「あら失礼。暴徒は迎撃するように言ってあるのよ」
「そう」

おねーちゃんは手を掛けようとしていたスペルカードを収めてくれた。殺気だけは殺さずに。

「人形遣いと泥棒はいるかしら?」



<アリスサイド>

永琳の気迫から一時的にとは言え、解放された私は張り詰めていた気を緩めた所為か、軽い眩暈を覚えた。
私よりもこってり絞られて抜け殻になった魔理沙は暫く使い物にならないだろう、診察台の上で僅かばかりに両手両足の末端をピクピクと痙攣させている。
目に色はなく、顔に表情は無く、喩えるならば打ち上げられた小魚のような。試薬の対象が私にならなかったことを天にでも感謝すべきところだろう。

しかし、厄介な事に風見幽香が永遠亭まで押しかけてくるとは。
自律人形の創造という目的のためにはメディの存在は不可欠。しかし、風見幽香はメディを我が娘のように可愛がっているという。
永琳に聞いていた話は考えていた事実よりも過保護だった。

「人形遣いと泥棒はいるかしら?」

厭に殺気の篭る怒声が脳髄に轟く。
彼女は、本気だ。
過去に、まだ私がグリモワール聖典の強大な魔力を知らなかった時。
禁書を以ってしても勝てなかった相手に、今の私は勝てるのだろうか?
あの頃と違って、十倍を超える数の人形を操るだけの魔力を持ったとは言え、相手は幻想郷で最強と謳われる大妖怪。

「……会って、どうする気?」

実に泰然とした声だった。八意永琳のものだろう。
こちらも永夜事変で戦った時、輝夜を超える力を持ちながら本気を出さなかった相手だ。
二対一であったにも関わらず、彼女は余裕の笑みすら浮かべていた。もしも輝夜の止めが入らなければ―。

「決まってるじゃない。メディを酷い目に遭わせただけの罰を与えるのよ」
「会わせられないわ」
「庇い立てするのなら、貴女とて無事では済まないわよ?」
「もし、貴女が本気を出すのであれば私のところには来ないでしょう?」

部屋の様子を窺い知る事すら許さない、雰囲気がそう告げていた。
メディがどう思っているか、あの二人はもう考える事すらしていないだろう。
声を発する事にすら封じられる結界を張り詰めた戦場に私は術式を展開した。そして、

「貴女ほどの大妖怪でも困惑するぐらい、メディに何かがあると?」

妖力・魔力・理力の渦が激しくぶつかりながら交差する戦場へと乗り出す―。

「アリス?!」

声をあげたのは幽香か永琳か。
そんなのはどちらでもいいのだ。メディを助ける、その一点に於いては。

「ふん、怖気付いて逃げ出したのかと思ったわ」

不敵に嗤い、観葉植物の鉢から植物の蔓を私に向ける。
―これは、いつの日か受けた宣戦布告。
だが、私は応じられなかった。

「逃げる気?」
「いいえ、違うわ」

数体の人形にメディを護るように飛ばし、自身には結界を張らずに敵中に晒す。
私の目にはメディを護る、その一念しかなかったから。

「……メディの周りの人形を払いなさい。流れ弾を生じさせるような下品な弾幕など撃たない」
「“貴女の”マスタースパークが流れ弾でなければ、メディが運ばれる事はなかったわ!」

幽香が薙ぐ一閃を寸でに止め、敵意と共に手を傘にやった。

「!? そういう事……」

幽香も永琳も、私の一言に全て合点が行く様に頷いた。
三力の渦は弾き合いを弱め、自然に調和して行く。

「ねえ、アリス?」
「何かしら?」
「あのスペル強盗はどこかしら♪」

私は、初めて幽香に笑って教えてやった。

「永琳に連れて行ってもらいなさい♪」


<メディサイド>

「よく頑張ったわね」

わたしは、必死にアリスにしがみ付いた。
好きな人たちが、お互いに一触即発の雰囲気に耐えられなかったから。
声を出したくても出せない恐怖が、全て形を変えて溢れ出るのを止められなかった。

「もう安心しなさい。ちょっと怖い事が重なりすぎただけだから。もう大丈夫だから」

抱いてくれたアリスの体は温かかった。

「……おかあさん……」
「!?……なあに?」
「……なんでだろう? そんな感じがして……。
 もう少し、このままでいさせて……」

今だけは、アリスの温もりに包まれていたかった――。

<アリスサイド>

永琳の先導で私が居たであろう部屋まで連れられる幽香だけは弛緩した空気にそぐわない美しさを持っていた。
魔理沙
娘にと想う大妖怪が怒るのも無理からぬ事だろう、と、今なら言える。
メディは、私にとっても『生ける標本』などではなく、家族の一員なのだから。
数ある上海・蓬莱・仏蘭西といった個性溢れる人形たちのひとり。マトリョーシカでさえ、魂を宿す大事な友達なのだから。

「もう安心しなさい。ちょっと怖い事が重なりすぎただけだから。もう大丈夫だから」

私でさえ充てられるはずの毒気が、今は何も感じないほど弱々しいそれになっていた事に気付く。
小さな体を振るわせるメディを抱きしめてあげる私が震えていたのか。

「……おかあさん……」
「!?……なあに?」
「……なんでだろう? そんな感じがして……。
 もう少し、このままでいさせて……」

ぎゅっと、しがみつくように私の体に力が加わる。
人形だというのに、胸は熱くて暖かい。
それは、紛れもなく生の証明だった。

いや、この熱さは私のものだろうか。
“いつか、メディとこうなりたかった”という、なんとも希望観測の過ぎる話だ。
私が、“自律”――意志を持つ人形に拘ったのは。
友達が欲しかったから。―違う。
誰かのぬくもりが欲しくて。―違う。

私は、神に成りたかったに過ぎない――。
私の先祖であり、創造主であり、絶対的な力を持つ魔界神。
それでいて、優しくて柔らかな微笑みを絶やさなかった母。―それすらも超えて。

「……アリス、泣いてるの?」
「え……?」

メディの手が私の目元を拭う。
真っ赤に泣きはらしたその顔が、じわりと霞んでいく。

私は、優しく、強く。メディを抱きしめる。
メディスン・メランコリーという存在を、離さないように。
痛いよ、と腕の中で動く小さな命は、昔の私。

不意にメディの頭を撫でた。
私も、何故撫でたか解らない。
そう、したくなったから?

想い熾る昔の日の母なる神と、魔界を棄てなかった私と――。
――ああ、同じなんだ――

風見幽香が、この子に固執するのは、魔界を棄てた私と神綺様だから。


「帰りましょうか。私達の家に」


私の、故郷にも。
それは遠くない未来に。

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